広告代理店の手数料「広告費の20%」と成果報酬の違い。運用する側が勧めることはどう変わるか
先に結論
「広告費の20%」の手数料では、広告費が増えるほど運用する側の売上が増え、御社の売上が増えたかどうかは手数料に関係しません。売上に対する成果報酬では、御社の売上が増えたときにだけ運用する側の売上が増えます。ただし、成果報酬でも「リード1件いくら」の形では同じずれが起きるので、何に対していくら払うのかまで確かめてください。
広告代理店の手数料は、何に対して払うかで4つに分かれる
毎月届く請求書には、広告費と、その20%前後の運用手数料が並んでいます。面談で1件も決まらなかった月も、金額はほとんど変わりません。そして担当者からは「もう少し広告費を足してみましょう」という提案が届きます。御社も、この提案にうなずいてよいのか迷ったことがあるのではないでしょうか。
弊社の代表の猪飼も、頼む側にいたことがあります。自社の事業で外の会社に広告の運用を何度か頼み、方向が少しずれたまま、うまくいかずに終わりました。その経験から弊社は、依頼先を比べる前に、相手が何を増やすと自分の売上が増えるのかを、頼む側が知っておくべきだと考えています。
広告運用を外に頼むときの費用は、大きく分けると次の4つの形です。よく見かけるのは使った広告費の一定割合を手数料とする形で、月の手数料に下限を設けている会社もあります。
| 手数料の形 | 運用する側の売上が増えるとき | 起きやすいこと |
|---|---|---|
| 広告費の◯% | 御社が広告費を増やしたとき | 成果が出なくても「広告費を足しましょう」という提案になりやすい |
| 月額固定 | 契約が続いたとき | 作業の範囲が決まっている分、成果との結びつきは弱い |
| リード1件ごとの成果報酬 | リードの数が増えたとき | 面談に来ない、決まらないリードも1件と数えられる |
| 売上に対する成果報酬 | 御社の売上が増えたとき | すぐに数字が出る施策に偏りやすい |
どの形が正しい、ということではありません。人は悪気がなくても、自分の売上が増える方向の提案をしやすくなります。だから、形を知っておくことが、提案を正しく受け取るための前提になります。
「広告費の20%」を計算すると、得になる動きが正反対だと分かる
例(仮の数字)で計算してみます。月に50万円の広告を出すと、手数料は20%の10万円で、お支払いは合わせて60万円です。面談で1件も決まらなかった月も、この60万円は変わりません。代表はこれを「成果が出ていないのに、手数料と広告費を合わせて60万円かかる。リスクが高いなと私も思います」と言います。
次の表は、同じ「月50万円の広告」から始めて、3つの月を比べたものです。売上に対する成果報酬は、弊社の料率(その月に増えた売上のうち300万円までは20%)で計算しています。どちらも月額の費用は別です。
| その月に起きたこと(例・仮の数字) | 広告費の20%の手数料 | 売上に対する成果報酬 |
|---|---|---|
| 広告費50万円、売上は増えなかった | 10万円 | 0円 |
| 広告費を100万円に増やしたが、売上は増えなかった | 20万円 | 0円 |
| 広告費は50万円のまま、売上が300万円増えた | 10万円 | 60万円 |
2行目と3行目を見てください。手数料の形では、売上が増えなくても広告費を増やせば手数料が倍になり、広告費を増やさずに売上を増やしても手数料は変わりません。成果報酬の形では、その逆です。同じ広告を見ていても、運用する側が報われる動きは正反対になっています。
手数料の形を選ぶことは、運用する側に何を頑張ってもらうかを選ぶことです。
手数料の形が、運用する側の言葉を変える
弊社が広告費の◯%の形を取らない理由を、代表は「運用手数料でやってしまうと、広告費を上げてくださいとしか言えなくなってしまう」と話しています。広告費を上げることが、そのまま運用する側の売上になるからです。
商談で伺うお悩みにも、この形から来ているものがあります。いまの運用者について「やっぱり手前のCPAしか、あまり見てくれない」という声や、ほかの会社より獲得単価が高い理由を聞いても「あまり的確な答えが返ってこない」という声です。
面談に来たか、面談で決まったかまで見ないのは、怠けているからとは限りません。手数料がそこにつながっていないので、見る理由が生まれにくいのです。御社が面談とご成約の数字まで見てほしいなら、その数字に報酬がつながる形を選ぶのが近道です。
成果報酬なら安心、とは限らない。「リード1件いくら」の落とし穴
「成果報酬なら、成果が出なければ払わなくてよいので安心」とよく言われます。弊社の見方は少し違います。大事なのは成果報酬かどうかではなく、何を成果として数えるかです。
リード1件ごとの成果報酬では、運用する側はリードの数を増やすほど売上が増えます。すると、面談に来ない方や、そもそも商品に合わない方でも、数として集めたほうが得になります。ある商談では、こうお伝えしました。「事業者さんはリードが欲しいわけではなく、最終的には売上が伸びることがゴールです。リードで成果報酬だけ持っていかれて売上が出ませんでした、では同じ方向を向いているとは言いがたい」。
売上に対する成果報酬なら、この問題は起きにくくなります。商談で、ある経営者の方から「LPを作るとき、成果報酬ならやっていいよと言ったら、できませんと言われた」と伺ったことがあります。成果報酬を受けるかどうかは、依頼先が自分の仕事の結果に責任を持てるかを確かめる、一つの手がかりにもなります。
売上の成果報酬にも弱点がある。完全な成果報酬にしない理由
売上に対する成果報酬にも、弱点はあります。すべてを成果報酬にすると、運用する側は最短で数字が出る施策しか打てなくなります。受け皿づくりやリストの育成のように、効き始めるまで時間のかかる打ち手が後回しになります。
もう一つは、商品そのものが売れない場合です。代表は以前、成果報酬でお引き受けしたものの、商品の側に理由があって売れなかった経験があります。どれだけ広告をうまく回しても、売れない商品は売れません。弊社がいま、すでに販売の実績がある商品・サービスに限ってお受けしているのは、このためです。
そこで弊社は、月額の費用と、増えた売上に対する成果報酬を組み合わせています。月額は時間のかかる仕事にも取り組むためのもの、成果報酬は弊社が入ったことで増えた売上に対してだけいただくもの、と分けています。6ヶ月の間に対象となるご成約が1件も生まれなければ、お支払いは運用費の264,000円だけです(伴走+実務型の実務費は別途です)。
「増えた売上」はどう決めるか。成果報酬で揉めないための決め方
成果報酬で揉めやすいのは、どこまでを「成果」と数えるかです。これまでどおりでも決まっていたはずのご成約まで対象にすると、頼む側は納得できません。弊社では、ご契約の前に次のことを書面で決めています。
- ご契約前の直近3ヶ月の平均成約率を、ベースライン(比べる基準)にする
- ベースラインを上回った分のご成約から生じた売上を、対象にする
- 集客から始める場合は、弊社が開始した広告から獲得したリードのご成約も対象にする。ご契約前から御社で運用している広告は対象外
- 毎月末日で締め、面談数と成約数は毎週の報告で御社と同じ数字を見て確かめる
料率は、その月の対象売上のうち300万円までは20%、300万円を超え1,000万円までの部分は10%、それを超える部分は5%です。対象売上が500万円の月なら、300万円×20%+200万円×10%で80万円になります。増えた売上の8割以上は御社に残るので、伴走型なら増えた売上が月55,000円(月額44,000円÷0.8)を超えれば、月額を含めても御社の手元はプラスになります。
ほかの会社の成果報酬を検討するときも、何と比べて「増えた」とするか、対象になる売上の範囲、数字を誰がどう確かめるか、の3点を先に聞いておくと、あとで揉めずに済みます。
広告代理店を選ぶときに確かめたい7つの質問
手数料の形は、契約書の一行だけでは良し悪しが分かりません。商談の場で、次の7つを聞いてみてください。答え方で、その依頼先が何を増やすことで売上を得ているかが見えてきます。
- 手数料は、何に対していくらか。広告費、リードの数、作業、売上のどれか。月の下限はあるか
- 広告費を増やす以外の提案を、これまでのお客様にどんな形でしてきたか
- 面談に来た割合と、面談で決まった割合まで、毎月の報告に入るか
- 広告アカウントとデータは、どちらの名義になるか
- 実際に運用するのは誰か。担当者が替わるのはどんなときか
- 成果報酬なら、何と比べて「増えた」とするか。契約が終わったあとの売上はどう扱うか
- 契約期間は何ヶ月か。途中で見直す時期はいつか
4つ目は見落とされがちです。広告アカウントを依頼先の名義で持たれると、依頼先を変えたり自社で運用したりするときに、それまでのデータを引き継げません。成果が出ていればいるほど、頼む側が不利になります。弊社は広告アカウントを御社名義のまま運用し、広告費をお預かりすることもありません。
商談で、ある経営者の方から、リスティング広告を頼んだ先が2週間で廃業し、効果の報告も届かなかったという話を伺ったこともあります。手数料の形と同じくらい、誰が運用し、毎月何を報告してくれるかを確かめておいてください。
弊社が「増えた売上」からだけいただく理由
代表は、成果報酬にした理由を「クライアントさんだけがリスクを取るのは、ビジネスとしてあまりフェアではない」と話しています。「無駄に広告費を上げたところで、うちには1円も返ってこない」とも言います。広告費の額は、弊社の売上に関係しません。
「一方だけが得をしていると、絶対に長く続かない」とも言います。頼む側でうまくいかなかった経験があるからこそ、弊社は、3ヶ月目の月末に残りの3ヶ月の進め方を一緒に決め、6ヶ月を一区切りとしています。広告費を増やすのは、面談で決まる流れができてからです。
手数料は、相手の努力がどちらを向くかを決めるものです。明日、いまの依頼先の請求書か契約書を開いて、手数料が何に対していくらかかっているのかを一行で書き出してみてください。その一行を読めば、相手が来月、御社の売上と広告費のどちらを増やそうとするかが見えてきます。
よくある質問
広告代理店の運用手数料の相場はどのくらいですか。
使った広告費の20%前後とする形がよく見られます。月の手数料に下限を設けている会社や、初期費用を別にいただく会社もあります。金額の大小よりも、何に対していくら払うのかを先に確かめることをおすすめします。
成果報酬型の広告運用は、手数料型より得ですか。
何を成果として数えるかで変わります。リード1件ごとの成果報酬では、面談に来ない方や決まらない方も1件と数えられるため、手数料型と同じように数を増やす方向に寄りがちです。売上に対する成果報酬で、比べる基準と対象の範囲が書面で決まっていれば、頼む側のリスクは小さくなります。
広告費の◯%の手数料型が向いているのは、どんな場合ですか。
面談に来る割合と面談で決まる割合がすでに安定していて、あとは広告の量を増やせば売上が増える段階なら、手数料型でも筋が通ります。決まる流れがまだ整っていない段階で手数料型にすると、広告費だけが増えて売上が追いつかないことがあります。
士業など、成果報酬を受け取れない業種でも依頼できますか。
ご依頼いただけます。士業の中には、売上に連動した報酬を外部に支払えない業種があります。弊社では、成果報酬をいただかない形をご用意しており、内容と費用はご相談のうえで決めています。
