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コラム2026.10.17

広告はCPAではなく「面談1件あたりの広告費(着座単価)」で見る|限界CPOの出し方

先に結論

面談で販売する高単価の商品・サービスでは、広告はリード1件あたりの獲得単価(CPA)ではなく、実際に面談した1件あたりの広告費(着座単価)と、ご成約1件あたりの広告費(成約単価・CPO)で判断してください。先に、ご成約1件にかけてよい広告費の上限(限界CPO)を単価と粗利から決めておけば、面談1件、リード1件にかけてよい広告費まで逆算でき、CPAが上がったときに広告を止めるべきかどうかも判断できます。

CPAが上がった月に、広告を止める前に見てほしいこと

月末に届く広告の報告を開くと、いちばん上にCPA(リード1件あたりの獲得単価)が並んでいます。先月より、はっきり上がっている。担当者からは「表現を変えて下げます」と一言だけ。御社も、上がった数字を見て、この広告はもう止めたほうがいいのではと迷ったことがあるかもしれません。

弊社の代表の猪飼は、その逆の失敗をしています。自社で講座を販売していた頃、モニター募集などで登録のハードルを下げて集めたところ、リードは100も200も取れました。CPAは安く、管理画面だけを見れば大成功です。ところが、その後のメールはほとんど開かれず、クリックはまったくありませんでした。安く集めた登録は、その先に一歩も進まなかったのです。

だから弊社は、広告の良し悪しをCPAでは決めません。面談で販売する高単価の商品・サービスなら、実際に面談した1件あたりの広告費(着座単価)と、ご成約1件あたりの広告費(成約単価・CPO)で決めます。この記事では、その違いと、ご成約1件にかけてよい広告費(限界CPO)から上限を逆算する方法をお伝えします。

CPA・着座単価・成約単価(CPO)の違い

3つとも「広告費 ÷ 件数」で出せます。違うのは、どの段階の件数で割るかだけです。

数字出し方分かること
CPA(獲得単価)広告費 ÷ リードの件数(LINE登録、資料請求など)広告が人を集める効率
着座単価(面談単価)広告費 ÷ 実際に面談した件数広告が「話を聞きたい人」を連れてくる効率
成約単価(CPO)広告費 ÷ ご成約の件数1件売るのにかかった広告費

「着座」は、予約した面談に実際に来てくださったこと(オンラインなら、画面の前に座ってくださったこと)を指します。予約の件数で割る「予約単価」もありますが、予約しても来ない方が多い商品では、実態より良く見えてしまいます。CPAと予約単価は途中の様子を見るための数字にとどめ、判断は着座単価と成約単価でするべきです。

それでも広告の報告がCPA中心になりやすいのは、管理画面ですぐに見られ、毎日動く数字だからです。見やすい数字と、売上に近い数字は、同じではありません。

CPAが安い広告ほど、売れないことがある

同じ30万円をかけた2つの広告で比べてみます。

例(仮の数字)広告A広告B
広告費30万円30万円
リード(CPA)100件(3,000円)50件(6,000円)
実際の面談(着座単価)4件(7.5万円)8件(3.75万円)
ご成約(成約単価)0件(なし)2件(15万円)

CPAだけを見れば、広告Aのほうが倍よく見えます。けれど、着座単価は広告Bが半分で、売上を生んだのも広告Bだけです。CPAで判断していたら、売れている広告Bを止め、売れていない広告Aに予算を寄せていたことになります。

代表はこの点を、商談のたびに言い切ります。「CPAが上がったのが悪ではなくて、売れないことが悪なんです。事業をやっている以上」。そして「CPAが倍でも、成約率が倍から2.5倍になるほうが、ビジネスは安定する」と続けます。

御社が払うべきなのは、登録1件の値段ではなく、話を聞きに座ってくださる1人の値段です。

CPAが安い広告に関心の薄い方が集まりやすいのは、手軽さや無料の特典を前に出すほど、情報だけを集めたい方まで登録するからです。代表の講座のモニター募集で起きたことも、まさにこれでした。

弊社自身の数字で、着座単価を計算してみる

弊社がサイトで公開している、弊社自身の高単価サービス(2025年度・1商材)の数字を、3つの物差しで割ってみます。

見た数字弊社自身の高単価サービス(2025年度・1商材)計算
予約単価約1.5万円広告費 約188万円 ÷ 予約125件
着座単価約2万円約188万円 ÷ 面談95件
成約単価(CPO)約14万円約188万円 ÷ ご成約13件
1件あたりの売上約123万円売上1,602万円 ÷ 13件

広告費約188万円で面談が95件、ご成約が13件、売上が1,602万円でした。着座単価は約2万円、成約単価は約14万円で、1件あたりの売上は約123万円です。売上は広告費の約8.5倍になりました。

ここで大事なのは、着座単価の約2万円だけを見ても、高いのか安いのかは分からないということです。1件あたりの売上と、面談から決まる割合があって、はじめて「この着座単価なら十分に合う」と言えます。その物差しを先に作っておくのが、次の限界CPOです。

限界CPOの出し方:ご成約1件に、いくらまでかけてよいか

限界CPOは、ご成約1件に広告費をいくらまでかけてよいかの上限です。これを超えると、1件売るごとに赤字になります。出し方は次の3段階です。

  1. 1件あたりの粗利を出す。商品の単価から、講師やスタッフの外注費、教材、決済の手数料など、1件売るごとに必ずかかる費用を引きます
  2. 広告以外の販売の費用を引く。面談をする方の時間、予約の管理、ご成約までのやり取りにかかる費用を見積もって引きます。これが限界CPOです
  3. 残したい利益を引く。限界CPOから、1件あたり手元に残したい利益を引いたものが、日々の判断に使う目標CPOです
例(仮の数字)計算金額
商品の単価60万円
1件あたりの粗利60万円 × 粗利率80%48万円
限界CPO48万円 − 広告以外の販売費 8万円40万円
目標CPO40万円 − 残したい利益 25万円15万円

目標CPOが15万円なら、売上は広告費の4倍(ROAS 400%)です。目標ROASが先に決まっている会社なら、目標CPO = 単価 ÷ 目標ROAS でも同じ数字が出ます。

継続課金や上位の商品がある場合は、1人のお客様が生涯にもたらす売上(LTV)で計算したくなります。けれど最初の上限は、初回のご成約の単価で出してください。見込みのLTVで上限を高く置くと、確かめる前に広告費を使い切ってしまうことがあります。LTVは、継続や追加のご購入が数字で確かめられてから上乗せすれば十分です。

限界CPOから、着座単価とCPAの上限を逆算する

目標CPOが決まれば、成約率と来場率を使って、面談1件、予約1件、リード1件にかけてよい広告費まで逆算できます。

例(仮の数字)計算かけてよい上限
ご成約1件(目標CPO)15万円
面談1件(着座単価)15万円 × 成約率25%3.75万円
予約1件(予約単価)3.75万円 × 来場率60%2.25万円
リード1件(CPA)2.25万円 × リードから予約への割合5%約1,100円

この表を見ると、「CPAは◯円以下が優秀」という相場が、あまり意味を持たないことが分かります。同じ表で、成約率が30%、来場率が75%なら、リード1件にかけてよい広告費は約1,700円まで上がります。御社の面談で決まる割合が高いほど、高いCPAを払えます。高いCPAを払える会社だけが、競合が手を出せない、質の高い方に広告を届けられます。

日々の判断は、着座単価で十分です。ご成約は件数が少なく、1件決まるかどうかで成約単価が大きく揺れるからです。ふだんは「着座単価が上限の3.75万円を超えていないか」を見て、ご成約の数字は月単位で確かめます。

広告の良し悪しを判断する手順

考え方を、毎週の判断の手順にすると次のようになります。

  1. 広告ごとに、広告費、リード、予約、面談、ご成約の件数を、どの広告から来た方か分かる形で残す
  2. 面談が1〜2件の段階では判断しない。小さな件数の差は、たまたまのことが多いからです
  3. 着座単価を上限と比べる。内側なら続け、超えている広告は、表現か集める相手を見直す
  4. 一度に変えるのは1か所だけにする。表現とページと予約後のご連絡を同時に変えると、何が効いたのか分からなくなります
  5. ご成約は月単位で確かめる。着座単価は合っているのに決まらない広告は、面談には来るが合わない方を連れてきている可能性があります

始めるときは、小さな金額で十分です。代表は商談で「テストは5万円、多くても10万円以内。1リスト2,500円で取れると分かれば、逆算ができる」と伝えています(金額は一つの例です)。小さく出して実際の数字を取り、上の逆算の表に入れて確かめます。

もう一つ、広告の管理画面に何を「成果」として伝えているかも確かめてください。リードの登録だけを成果として伝えていると、広告の仕組みは、登録しやすい方を探しにいきます。CPAがきれいに下がっていても、面談が増えていなければ、広告は別のものを磨いています。

数字を早く下げようとして、広告からいきなり高額の商品を売り込んだり、「今だけこの価格」とあおったりする方法を、弊社は取りません。強い言葉で集めた方は、面談に来ない、来ても決まらないことが多く、着座単価はすぐに上がり始めます。来てほしい方をはっきりさせて広告を出すと、CPAは上がることがあります。それでも着座単価と成約単価が下がるなら、それが御社にとって正しい広告です。

明日、先月の広告費を面談の件数で割ってみる

社内で運用していても、外部に頼んでいても、広告の報告には、広告費とCPAに加えて、予約、面談、ご成約の件数を広告ごとに並べてください。外部の運用者が面談やご成約まで見ようとしない場合は、手数料がどの数字につながっているかを確かめる価値があります。手数料の形については関連コラム「広告代理店の『広告費の20%』と、成果報酬は何が違うのか」に、来場率や成約率の数え方は「広告費を増やす前に確かめたい3つの数字」にまとめています。

広告費は、登録の数を買うためのものではなく、御社の話を聞きに来てくださる方に出会うためのものです。明日、先月の広告費を、先月実際に面談した件数で割ってみてください。出てきた一つの数字が、CPAが上がった月に、広告を続けるか止めるかを決める物差しになります。

よくある質問

Q

着座単価とは何ですか。CPAとはどう違いますか。

A

着座単価は、広告費を、実際に面談した件数で割ったものです。CPAは、広告費をLINE登録や資料請求などのリードの件数で割ったものです。面談で販売する商品では、リードが集まっても面談に来なければ売上にならないため、着座単価のほうが売上に近い物差しになります。

Q

限界CPOは、どうやって計算しますか。

A

商品の単価から、1件売るごとにかかる原価や外注費を引いて粗利を出し、さらに広告以外の販売の費用を引いたものが限界CPOです。そこから1件あたり残したい利益を引いたものを、目標CPOとして日々の判断に使います。目標ROASが決まっている場合は、単価 ÷ 目標ROASでも目標CPOを出せます。

Q

着座単価は、いくらくらいが目安ですか。

A

単価と成約率で変わるため、他社の相場はあまり参考になりません。目標CPOに成約率を掛けたものが、御社の着座単価の上限です。参考までに、弊社自身の高単価サービス(2025年度・1商材)は、公開している数字で計算すると着座単価が約2万円でした。

Q

CPAが上がったら、広告を止めるべきですか。

A

CPAだけで止める必要はありません。着座単価と成約単価が上限の内側に収まっていれば、CPAが上がっても、むしろ質の高い方が集まっている可能性があります。止めるかどうかは、面談とご成約の件数がある程度貯まってから、上限と比べて決めてください。

猪飼 智弘
この記事を書いた人猪飼 智弘株式会社エクスネット 代表取締役/商談の伴走者

2011年に名古屋で創業。自社でも講座の販売や広告の運用を続けながら、面談で販売する高単価の商品・サービスの売上を、商談と導線から伸ばす伴走支援をしています。

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