広告費を増やす前に確かめたい3つの数字(面談の来場率・成約率・失注後)
先に結論
面談で販売する高単価の商品・サービスでは、広告費を増やす前に、予約した面談に来てくださる割合(来場率・着座率)、面談で決まる割合(成約率)、決まらなかった方へのその後のご連絡、の3か所を確かめてください。広告費で増やせるのは面談の予約の数だけで、この3か所が低いままだと、増えた予約の多くは売上にならずに流れていきます。直近3ヶ月の数字を1枚に並べ、いちばん低いところから手を付けるのが近道です。
広告費を増やしても売上が伸びないのは、なぜか
月末に広告の管理画面を開くと、登録も面談の予約も、先月より増えています。それなのに、手元に残ったお金は思ったほど増えていません。来月はもう少し広告費を上げてみようか。面談で高単価の講座やサービスを販売している社長なら、一度はこう考えたことがあるはずです。
弊社の代表の猪飼も、自社で講座を作って販売してきた側です。同じ運営をする立場で、悩んだことも、失敗したことも少なくありません。その経験から、講座やスクールの成約率の肌感覚をこう言います。「成約が3割を切ってくると、だんだん苦しくなる。25%を下回ると売れなくなってきて、2割になると、かなりテコ入れしないと危ない」。
この「苦しくなる」は、広告費では埋まりません。広告費を上げても、面談で決まる割合は少しも上がらないからです。弊社は今も、自社の高単価サービスで、面談の予約、実際の面談、ご成約の3つを毎月同じ形で数えています。広告費を上げるかどうかは、この3つを並べてから決めるべきだと考えています。
面談で売る商品の売上は、掛け算でできている
面談で販売する商品の売上は、面談の予約の数、来てくださる割合、決まる割合、単価の4つを掛けたものです。広告費を増やして動くのは、このうち最初の予約の数だけです。しかも、広告費を増やすほど、それまで届いていなかった関心の薄い方にも広告が届きます。予約は増えても、来てくださる割合と決まる割合は下がりやすくなります。
同じだけご成約を増やすのに、どこを動かすかを比べてみます。
| 例(仮の数字) | 動かしたところ | ご成約 |
|---|---|---|
| いま | 予約30件、来場50%、成約20% | 3件 |
| 広告費を1.5倍に | 予約45件(割合は同じと仮定) | 4.5件 |
| 来場率を上げる | 来場50%を75%に | 4.5件 |
| 成約率を上げる | 成約20%を30%に | 4.5件 |
表では、広告費を増やしても割合は変わらないと仮定しました。実際には割合が下がることが多く、1.5倍の広告費で4.5件に届かないことは珍しくありません。一方で、来てくださる割合と決まる割合は、いま入っている予約と、いま行っている面談だけで上げられます。広告費は1円も増えません。
広告の世界では「まず母数を増やせ」とよく言われます。弊社は、面談で販売する商品に限っては、その順番は逆だと考えています。広告費で買えるのは予約の数だけです。売上を決めるのは、その予約から先の割合です。
まず、直近3ヶ月の数字を1枚に並べる
予約がどこで流れているかは、数字を並べれば見えてきます。難しい分析は要りません。直近3ヶ月について、次の5つを月ごとに数えてください。
- 面談の予約が入った件数
- 実際に面談でお話しできた件数
- ご成約の件数
- 決まらなかった方の人数
- 決まらなかった方に、その後ご連絡した回数と、返ってきた反応
言葉の意味は先にそろえておきます。「予約」は日時まで決まったもの、「面談」は実際にお話しできたもの(途中で切れたものや、日程の変更待ちは含めない)、「ご成約」はお申し込みかご入金があったもの、というように決めます。月によって数え方が違うと、改善したのか、数え方が変わっただけなのかが分からなくなります。
できれば、入り口ごとにも分けて数えます。広告、紹介、LINEやメールのリスト、セミナーなど、どこから来た方かで割合は大きく変わります。合計だけを見ていると、よい入り口と悪い入り口が打ち消し合ってしまいます。弊社が自社で試した問い合わせフォームからの営業も、843通の送付から資料請求27件、面談11件、ご成約2件と、段ごとに数えて記録しました(事例のページで公開しています)。
1つ目 予約した面談に来てくださる割合(来場率・着座率)
予約のうち、実際に面談でお話しできた割合です。業界では「着座率」とも呼ばれます。ここが低いと、その先の成約率をいくら磨いても、話せる相手がいません。弊社がご一緒した高単価の教育サービスでは、この割合が6ヶ月で31.3%から63.2%になりました。3人に1人しか来ない状態と、2人に1人以上が来る状態とでは、同じ広告費で話せる人数が倍違います。
来場率が低いとき、最初に疑うのはリマインドの回数ではなく、集めている方が合っているかどうかです。代表は自社の経験から「ターゲットが変わると客層が変わるのが、肌感としてすごくよく分かる」と言います。来なかった方が、どの広告、どの入り口から来た方かを並べてみてください。特定の広告に偏っていれば、直すのは入り口です。偏りがなければ、予約のあとのやり取りを見直します。具体的な直し方は、関連コラム「予約した面談に来てもらえないとき」にまとめています。
2つ目 面談で決まる割合(成約率)
面談のうち、ご成約になった割合です。来場率が整っていても、ここが低ければ、広告費は面談の回数を増やすだけで終わります。
冒頭の「3割を切ると苦しくなる」は、個人のお客様向けの講座での経験則です。単価の高い法人向けのサービスなら、もっと低い成約率でも十分に回ることがあります。弊社自身の法人向けサービスは、2025年度の1商材で、面談95件からご成約13件(約14%)、売上1,602万円でした。何%なら十分かは、単価と、ご成約1件にかけてよい広告費から逆算して決めます。その出し方は、関連コラム「広告を面談1件あたりの広告費で見る」で説明しています。
割合と一緒に、決まらなかった理由を次の4つに分けて数えてください。
- お金や時期の都合(関心はあるが、いまは決められない)
- ご家族や社内の了解が取れていない
- ほかと比べたい
- そもそも商品が合っていなかった
4つ目が多いなら、問題は面談ではなく入り口にあります。1つ目から3つ目が多いなら、面談の中身と、面談の前にお客様が受け取っている情報に手を入れる余地があります。中身を見直すいちばん確かな方法は、録画を見返すことです。弊社でも、代表が受ける面談はすべて録画し、分析に使っています。
3つ目 決まらなかった方への、その後のご連絡
3つ目は割合ではなく、決まらなかった方がその後どうなっているか、です。高単価の商品は、1回の面談では決められない方が多くいます。そして、その方々は、すでに一度お話しした相手です。これから広告で出会う方より、御社の話を聞いてくださる可能性はずっと高いはずです。
広告費を上げる前に、その方々が何人いて、最後にいつご連絡したかを数えてください。数えるのは、決まらなかった方の人数、ご連絡した人数、返事をくださった人数、もう一度面談に来てくださった人数の4つです。ご連絡の仕方は、関連コラム「決まらなかったお客様に、もう一度ご連絡するとき」にまとめています。
どこから手を付けるか:判断の順番
3つの数字が並んだら、上から順に確かめ、最初に引っかかったところから手を付けます。
- 来場率が5割を下回っている。まず入り口(広告の表現、集める相手)と、予約のあとのやり取りを見直します
- 来場率は5割を超えているが、決まらなかった理由に「商品が合っていなかった」が多い。入り口に戻ります
- 来場率は5割を超え、合わない方も少ないのに、成約率が伸びない。面談の録画と、面談前にお送りしている情報を見直します
- 来場率も成約率も整っていて、決まらなかった方が何十人も手つかずで残っている。広告より先に、その方々へのご連絡に取り組みます
- 3つとも整っている。ここで初めて、広告費を増やす番です
「5割」は弊社が目安にしている線で、すべての商品に当てはまる基準ではありません。そして、3つを同時に直そうとしないでください。一度に何か所も変えると、どの変更が効いたのかが分からなくなります。
途中でよく起きるつまずきも2つ挙げておきます。1つは、リードの件数が増えたという報告で満足してしまうことです。面談とご成約の件数が報告に入っていなければ、売上が増えたかどうかは分かりません。もう1つは、成約率を上げるために値下げをすることです。一時的に決まりやすくなっても、利益が減り、ご成約1件にかけられる広告費まで減ってしまいます。
広告費を増やしてよいのは、どんなときか
3つの数字が整い、入り口ごとの数字も分かっている。この状態になれば、広告費を増やすのは怖いことではありません。増えた予約が、そのまま面談になり、ご成約になるからです。そのときは、広告をリード1件の単価(CPA)ではなく、面談1件あたり、ご成約1件あたりの広告費で判断してください。
広告費は、予約を買うためのお金です。その予約を売上に変えるのは、御社の面談と、その前後のやり取りです。明日、カレンダーを開いて、先月入った面談の予約を数えてください。その横に、実際にお話しできた件数と、ご成約の件数を書き込んでください。広告費を上げるかどうかは、その3つの数字が並んでから決めても遅くありません。
よくある質問
面談の来場率(着座率)は、どのくらいが目安ですか。
商品や入り口で大きく変わるため、一律の基準はありません。弊社は、5割を下回っているなら、広告費を増やす前に入り口と予約のあとのやり取りを見直すことをおすすめしています。公開している事例の数字と直し方は、関連コラム「予約した面談に来てもらえないとき」で紹介しています。
成約率が何%あれば、広告費を増やしてよいですか。
単価によって変わるので、何%と一律には言えません。ご成約1件にかけてよい広告費を先に決め、そこから面談1件にかけてよい広告費を逆算して、いまの成約率で合うかどうかを確かめます。代表の経験では、個人向けの講座やスクールは、成約率が3割を切ると苦しくなり始めます。
数字をまったく取っていません。何から始めればよいですか。
直近3ヶ月の予約、実際の面談、ご成約の件数を、カレンダーや面談の記録から数えるところから始めてください。正確でなくても構いません。次の月からは、言葉の意味をそろえて、入り口ごとに数えるようにします。
決まらなかった方には、いつ、何回ご連絡すればよいですか。
決まった回数はありません。まず記録を読み返して、決まらなかった理由ごとに分け、その方の状況に合わせた言葉でご連絡します。進め方は、関連コラム「決まらなかったお客様に、もう一度ご連絡するとき」にまとめています。
