失注したお客様への再アプローチと、眠っているリストの掘り起こし方
先に結論
失注したお客様への再アプローチは、全員に同じ案内を一斉に送るのではなく、決まらなかった理由ごとに分け、少人数ずつ、答えやすい一言から始めるのが基本です。最初の一通には面談のリンクも値引きも入れず、返事をくださった方に人が返し、話の流れの中で相談をご案内します。一度お話ししたことのある方は新しいリードより話を聞いてくださりやすく、広告より先に数字が動くことがあります。
失注したお客様の名簿は、なぜ開かれないまま眠るのか
広告の管理画面は、毎朝のように開いています。けれども、先月の面談で「少し考えます」とおっしゃった方に、その後一度でもご連絡したでしょうか。名前を思い出すのに、少し時間がかかるかもしれません。
商談でこう伺うと、多くの会社で答えに詰まります。ある会社のご担当者は「失注リストは、もうぐうの音も出ないぐらい課題」とおっしゃいました。
代表の猪飼も、ずっと同じでした。「新規に目が行きがちです。私もずっとそうだったので分かるんですよ。こっちの方が仕事をしている感も出ますから」と話しています。広告の数字は毎日動きますが、決まらなかった方の名簿は、開かなければ何も起きません。だから後回しになります。
弊社自身の高単価サービスでも、面談をした95人のうち、ご成約は13人でした。決まった方より、決まらなかった方のほうがずっと多いのです。その一人ひとりが、一度は時間を取り、ご自身の悩みを話してくださった方です。代表はこの状態を「リストの中で眠ってしまわれると、はっきり言って機会損失」と言います。
なぜ、広告より先に失注したお客様へ再アプローチするのか
一度話した方は、話を聞いてくださいます。代表は「一度でも話したことのある人の方が、話を聞いてもらいやすいんです。絶対に」と言い切ります。広告から来る新しい方は、御社の名前も社長の顔も知りません。決まらなかった方は、少なくとも一度は御社と向き合ってくださった方です。
しかも、決まらなかった理由は、商品への関心とは別のところにあることが少なくありません。予算の時期、ご家族や社内の了解、ほかの予定、そのとき優先していたこと。あるお客様の面談の記録を一緒に読み直したときも、見送りの理由として目立ったのは「いまは資金が出せない」というものでした。関心がなくなったのではなく、時期が合わなかった方です。代表は「1回だけのチャンスで、すべてを終わりにするのはもったいない」と言います。
そして、決まらなかった方へのご連絡には、広告費がかかりません。そのため弊社は、ご支援を始めるときに「最初の2〜3ヶ月は、広告を回さなくても構いません。失注リストから掘り起こしたほうがいい」とお伝えすることがあります。サービスの進め方で、ご商談の改善と受け皿の次に「ハウスリストの活用」を置き、広告をその後にしているのも、このためです。
メルマガとキャンペーンで追いかけると、反応はかえって落ちる
失注したお客様には、メルマガを定期的に送り続け、期間限定の値引きで背中を押す。よく言われるやり方です。弊社の見方は、ここが違います。
あるお客様では、登録から数ヶ月から1年ほどたったLINEのリストに、いきなりキャンペーンの案内を送ったところ、ブロックが多く出ました。受け取った方から見れば「誰ですか」という状態です。代表はこう言います。「リストが貯まっていけばいくほど、コミュニケーションを取らないと、ユーザーはどんどん離れていく。登録したこと自体を忘れてしまう」。
値引きもしません。代表は「今ならこの価格です、みたいなことは一切やらない」と決めています。見送った理由が時期や了解であれば、値引きでは解決しません。すでに決めてくださったお客様との公平さも崩れます。
必要なのは、追いかけることではなく、思い出していただくことです。そのために、まず名簿を分けます。
失注者リストのつくり方:3つの名簿と、決まらなかった理由
最初に、名簿を3つに分けます。温度が違うので、同じ文面は送りません。
- 面談をして、決まらなかった方
- 面談を予約したのに、来られなかった方
- 資料請求やLINE登録だけで、止まっている方
次に、1つ目の名簿について、決まらなかった理由を1人1行で書き出します。材料は、面談の録画や文字起こし、担当者のメモです。弊社では、代表が受ける面談をすべて録画し、分析に使っています。あるお客様では、これまでの予約者のメモを全員分抜き出し、キャンセル、連絡なし、資金の都合といった理由ごとに分けるところから始めました。
記録が残っていなければ、担当者が覚えている範囲で構いません。そして次の面談からは、終わった直後に「決まらなかった理由」と「その方がいちばん気にしていたこと」を1行ずつ残してください。この1行が、次にご連絡するときの言葉になります。
理由ごとに、最初の一言と送る時期を決めます。下の表は、弊社が目安にしている分け方です。
| 決まらなかった理由 | 最初の一言の方向 | 送る時期の目安 |
|---|---|---|
| 予算・資金の時期 | 状況が変わったかを伺う | その方が話していた時期の少し前 |
| ご家族や社内の了解 | 説明に使える材料をお渡しする | 面談から1〜2週間 |
| 他社と比べたい | 比べるときの見方をお伝えする | 面談から2〜4週間 |
| 優先順位が下がった | その方の悩みに関わる短い情報 | 1〜3ヶ月ごと |
| 弊社から合わないとお伝えした | 送らない | なし |
予約したのに来られなかった方は、事情が違います。こちらは「面談に来てくださる割合」の問題として、別に考えます。
3つ目の、登録だけで止まっている方は、まだ御社と話したことがありません。失注というより、会話がまだ始まっていない方です。面談をした方と同じ文面は送らず、LINEの最初の一通と同じ考え方で、答えやすい質問から始めます。
最初の一通の書き方:止まったところから、話を再開する
一通目を書く前に、一つだけ見方を変えてください。失注したお客様は、断った人ではありません。話の途中で止まっている人です。だから最初の一通は、ご案内ではなく、止まったところから話を再開する一言にします。面談のリンクも、値引きも入れません。
手がかりは、名簿に書いた1行です。その方が面談でいちばん気にしていたことに触れ、番号で答えられる問いを一つ添えます。
例(このまま使う文面ではなく、形の例です)。「○○様、以前は面談のお時間をいただき、ありがとうございました。あのとき伺っていた△△の件、その後いかがでしょうか。1. まだ同じことで悩んでいる 2. 少し落ち着いた 3. 別のことで悩んでいる。番号だけ返していただければ、状況に合わせた資料をお送りします。」
文面は、面談をした社長ご本人の言葉に近づけます。あるお客様では、弊社が下書きした文面に、社長ご自身の一言を足して送ることにしました。誰が書いたか分からない文面より、あの日話したその人から届いた一通のほうが、返事をしやすいからです。
弊社自身の営業でも、相手の会社を調べ、その会社に向けた文面を1通ずつ用意しました。843通から、資料請求27件(3.2%)、面談11件(1.3%)、ご成約2件につながっています。これは初めてご連絡する会社への数字です。一度お話しした方であれば、その方に向けた一通はなおさら届きやすいと、弊社は考えています。
返事をくださった方には、その日のうちに人が返します。やり取りが続いた方に、話の流れの中で相談をご案内します。代表は「リアクションを取りながら会話して、信頼関係をつくっておく。そうすると、後々の引き上げも楽になる」と言います。答えやすい問いの作り方は、LINEの最初の一通についてのコラムでも詳しく書いています。
返事がなくても、催促はしません。表の時期の目安に沿って間隔をあけ、次は別の話題で一通送ります。「連絡は不要」とおっしゃった方には、それ以上送りません。
少人数ずつ送って、数字で見る:掘り起こしの計算式
名簿は、数十人から100人ほどのまとまりに分け、週に1回など間隔を決めて送ります。1回ごとに、送った人数、返事をくださった人数、面談、ご成約を記録します。次のまとまりでは、文面を1か所だけ変えます。代表は広告のページを検証する場面でも「他まで変えちゃうと、何が正解だったか見当がつかなくなる」と言います。名簿でも同じです。
見込める売上は、次の式で出せます。
見込める売上 = 名簿の人数 × 返事をくださる割合 × 面談につながる割合 × 面談で決まる割合 × 単価
| 例(仮の数字) | 割合 | 人数・金額 |
|---|---|---|
| 決まらなかった方の名簿 | 80人 | |
| 返事をくださる方 | 25% | 20人 |
| 面談につながる方 | 30% | 6件 |
| 面談で決まる方 | 25% | 1.5件 |
| 単価50万円の場合の売上 | 75万円 |
例(仮の数字)として面談1件あたりの広告費が2万円なら、同じ6件の面談を広告で得るには12万円かかります。名簿から生まれた6件には、その費用がかかっていません。
ただ、この式がいちばん役に立つのは、どこで止まっているかが見えることです。返事が少なければ、最初の一言を見直します。返事はあるのに面談に進まなければ、ご案内の仕方を見直します。面談で決まらなければ、面談そのものを見直します。直す場所が分かれば、次の一手は1つに絞れます。
明日からやること:まず一人に、続きの一通を
名簿を3つに分け、理由を1行ずつ書き、少人数ずつ送ります。ここまで書いてきた手順を、全部そろえてから始める必要はありません。一人に送って返事が来れば、その一通がそのまま、次のまとまりに送る文面の下書きになります。
失注したお客様へのご連絡は、売り込みではありません。あの日の面談の続きを、こちらから始めるだけです。明日、直近3ヶ月で決まらなかった方を一人だけ選び、面談のメモを読み返してください。そして、その方がいちばん気にしていたことに触れる一言と、番号で答えられる問いを一つ書いて、送ってみてください。
よくある質問
失注したお客様に何度も連絡すると、しつこいと思われませんか。
同じ案内を繰り返し送ると、そう受け取られやすくなります。決まらなかった理由に合わせた一言で、答えやすい問いから始め、返事がなければ間隔をあけてください。「連絡は不要」と言われた方や、こちらから合わないとお伝えした方には送りません。
失注から半年以上たっていても、再アプローチできますか。
できます。ただし時間がたつほど、こちらのことは忘れられています。いきなり案内を送らず、以前の面談で伺った内容に触れる一言から始め、思い出していただくところから進めてください。
失注者への再アプローチは、LINEとメールのどちらがよいですか。
返事をいただくやり取りには、会話に近いLINEが向いています。ただ、LINEだけだとアカウントが止まったときに連絡できなくなるため、メールアドレスも手元に残しておくことをおすすめします。
再アプローチで、値引きやキャンペーンをしてもよいですか。
弊社ではおすすめしていません。見送りの理由が時期や了解であれば、値引きでは解決しないことが多く、すでに決めてくださったお客様との公平さも崩れます。値引きより、その方の状況に合った情報をお渡しするほうが、話が前に進みます。
