個別相談の成約率が上がらない原因|トークを直す前に見る3つの場所
個別相談の成約率が上がらないときは、トークや資料を直す前に、①面談の前にその方の課題を知っているか、②話し始める前に課題を聞き切っているか、③提案がその課題とつながっているか、の3か所を順に確かめてください。原因はたいていこのどこかにあり、決まらなかった面談の録画を見返すと、どこで話が止まったかが分かります。値下げや特典で成約率を上げるのは、この3か所を確かめてからでも遅くありません。
個別相談の成約率が上がらないとき、何が起きているか
今月も面談は10件入った。どの方とも話は弾んだし、最後まで熱心に聞いてくださった。それなのに、決まったのは1件だけ。終わったあとに「検討します」のメールが届き、その後は連絡が途切れる。面談で高単価の商品を販売している方なら、覚えのある月だと思います。
私自身、自社の講座も、法人向けのサービスも、面談で販売してきました。いまも弊社の個別面談には私が出て、すべてを録画して見返しています。その経験から、お客様にいつもお伝えしていることがあります。10人に1人しか売れない状態では、疲弊して続きません。面談は1件ごとに、準備と、1時間前後の時間と、気力を使うからです。
決まらない月が続くと、多くの方はトークを直そうとします。言い回しを変え、資料を作り直し、クロージングの一言を工夫する。けれども、そこを直しても数字が動かないことがよくあります。なんとかしたいと思っていても、手を入れる場所が見当違いになっていることがあります。そこを直しても、数字はまず改善しません。直す場所そのものが、ずれているのです。
成約率が5ポイント上がると、売上はどれだけ変わるか
直す場所の話に入る前に、成約率を少し上げる意味を数字で見ておきます。成約率が20%と30%では、売上はまったく違います。20%を25%に上げるだけでも、面談のやり方を少し変えるだけで届くことがあり、そこで成果が変わります。
| 例(仮の数字) | 成約率20% | 成約率25% |
|---|---|---|
| 月の面談 | 20件 | 20件 |
| ご成約 | 4件 | 5件 |
| 単価50万円の場合の売上 | 200万円 | 250万円 |
| 6ヶ月の差 | 300万円 | |
面談の件数も広告費も同じままで、6ヶ月で300万円の差になります(例・仮の数字)。同じ50万円を広告で増やそうとすれば、面談をさらに5件、つまり集客を25%増やす必要があります。成約率は、広告費をかけずに動かせる数字です。
何%なら十分かは、商品によって違います。私の経験では、個人のお客様向けの講座やスクールなら、4人に1人は決まるところを目標にします。単価の高い法人向けのサービスなら、もっと低くても回ります。弊社自身の法人向けサービスは、面談95件からご成約13件(約14%)でした。
トークを直す前に見る3つの場所
決まらない原因は、たいてい次の3か所のどこかにあります。話し方そのものは、その後です。
| 場所 | よくある様子 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 1. 面談の前 | その方が何に困っているかを、面談が始まってから初めて聞いている | 直近の面談で、始まる前にその方の状況を3行で書けたか |
| 2. 面談の中 | その方が話し始めたところで、こちらの説明が始まっている | 録画の前半で、どちらが長く話しているか |
| 3. 提案 | どの方にも、同じ順番で同じ商品説明をしている | 提案の中に、その方が面談で使った言葉が入っているか |
上から順に見ていき、最初に引っかかったところから手を付けます。一度に3か所を変えると、どれが効いたのか分からなくなるからです。
1つ目 面談の前:相手の課題を知らずに始めていないか
面談が始まってから「今日はどんなご相談ですか」と聞くと、前半の多くが状況の確認で終わります。その方の課題の芯に届く前に、時間が足りなくなります。
予約のあとに、いまの状況といちばん困っていることを、1〜2分で書ける事前アンケートでお聞きしておくと、面談はその続きから始められます。回答を読んで、その方に向けた話を用意してから面談に入れば、お客様から見ても「自分のために時間を取ってくれた」面談になります。聞く項目と頼み方は、面談に来ない方を減らすコラムで詳しく書いています。
2つ目 面談の中:聞き切る前に、説明を始めていないか
3か所のうち、録画を見返していちばん多く見つかるのが、ここです。お客様が「実は、前にも別の会社に頼んで」と話し始めた、まさにそのときに、売る側が「それでしたら、うちのサービスでは」と説明を始めてしまう。
お客様の面談の録画を一緒に見るとき、私はこういう場面で手を止めます。そして「せっかく今いいポイントなのに、ここで話しちゃってますね」とお伝えします。お客様が本音を話しかけたところで説明を始めると、本音はそこで止まります。止まった本音は、面談の最後まで戻ってきません。そして決まらなかった理由も、こちらには分からないまま残ります。
面談で決まるかどうかは、こちらが何を話すかより、話し始めるまでに何を聞いたかで決まります。
聞き切るための目安は、お客様が自分の言葉で次の3つを話してくださるまで、商品の話をしないことです。
- いま、何に困っているか
- これまでに、何を試してきたか
- 本当は、どうなっていたいか
3つ目まで話してくださったら、その方の言葉をそのまま使って「つまり、〜ということですね」と確かめます。「そうなんです」と返ってきたら、そこで初めて、こちらが話す番です。
3つ目 提案:その方の課題と、商品の話がつながっているか
聞き切ったあとでも、提案がどの方にも同じ順番の商品説明になっていれば、お客様は「自分の話を聞いてもらえた」とは感じません。カリキュラム、サポート内容、料金と、資料のページ順に話していないでしょうか。
提案は、その方が話した3つにつなげて組み立てます。「先ほど〜で困っているとおっしゃいました。そこは、この部分で〜します」。商品の中で、その方に関係のないところは、聞かれるまで話さなくて構いません。
価格も同じです。あるお客様と、講座の価格を上げるかどうかを話し合ったとき、私は「40万円と50万円なら、許容範囲内です。それより、課題に合った提案が個別相談でできているかのほうが重要です」とお答えしました。提案がその方の課題とつながっていれば、多少の価格の差は決め手になりにくい、というのが弊社の見方です。つながっていない提案を、値下げや特典で補おうとしないでください。
録画を見返して、どこで止まっているかを確かめる手順
3か所のどこに原因があるかは、決まらなかった面談の録画を見ると分かります。弊社がご支援の中で行っている手順は、次のとおりです。
- 録画の許可をいただいて、面談を録画する(Zoomなら記録の機能で残せます)
- 決まった面談と、決まらなかった面談を1本ずつ選ぶ
- 文字起こしにして、最初の15分でどちらが長く話しているかを比べる
- お客様が「実は」「本当は」と話し始めた場面に印を付け、その直後にこちらが何をしたかを見る
- 提案の部分に、その方が使った言葉が何回出てくるかを数える
私はこの分析で、どこにボトルネックがあるのか、どういう悩みを持つ方が多いのか、どういう提案をすれば成約に近づくのか、というところまで見るようにしています。1本だけでも、決まった面談と並べれば違いははっきり見えます。直すのは、見つかったうちの1か所だけにして、次の数件の面談で数字を確かめます。
明日やること:決まらなかった面談の録画を1本、最初の15分だけ見る
トークの言い回しも、資料の作り直しも、ここまでの3か所を見てからで十分です。成約率を上げるのは、うまく話すことより、話し始める前に相手の話を最後まで聞くことです。
明日、直近で決まらなかった面談の録画を1本だけ開いてください。そして最初の15分だけ見て、お客様が本音を話しかけたところで、こちらが説明を始めていないかを確かめてください。録画がなければ、次の面談から、お客様の許可をいただいて録画を始めてみてください。
よくある質問
個別相談の成約率は、何%くらいが目安ですか。
商品と単価によって違います。私の経験では、個人のお客様向けの講座やスクールなら4人に1人(25%)ほどを目標にします。単価の高い法人向けのサービスなら、もっと低くても回ることがあり、弊社自身の法人向けサービスは面談95件からご成約13件(約14%)でした。目安は、単価とご成約1件にかけてよい広告費から逆算して決めます。
トークスクリプトは作ったほうがよいですか。
聞く順番を決めておくことには意味があります。ただ、言い回しを一字一句決めると、お客様が本音を話し始めたときに、台本の次の行へ進みたくなります。決めておくのは、商品の話をする前に聞く3つ(困っていること、試してきたこと、どうなっていたいか)だけで十分です。
値下げや特典を付けると、成約率は上がりますか。
一時的に決まりやすくなることはあります。ただ、利益が減り、ご成約1件にかけられる広告費も減ります。提案がその方の課題とつながっていないことが原因なら、値下げをしても決まるのは一部です。先に、面談の前・面談の中・提案の3か所を確かめてください。
面談を録画するのは、お客様に失礼になりませんか。
始める前に「内容を振り返って、よりよいご提案をするために録画させてください」と理由をお伝えし、許可をいただいてください。断られた場合は録画せず、終わった直後に、その方が話した言葉をメモに残します。
